- この本がどんな参考書なのかが分かる
- この本の長所・短所が分かる
- この本のレビュー・使ってみた感想が分かる
「世界一わかりやすいTOEICテストの英文法ってどんな感じ?」という方に向けて、じっさいに使ってみた感想をレビューします。かれこれ累計50冊以上の参考書で勉強してきたので、その経験から長所と短所もまとめます。
世界一わかりやすいTOEICテストの英文法の評価・概要を知る
- 分かりやすさ
- 4
- 質のたかさ
- 5
- 使いやすさ
- 3
- ボリューム
- 4
- 評判のよさ
- 4
『世界一わかりやすいTOEICテストの英文法』はTOEIC専門に作られた数すくない文法書です。文法知識を必要としますが内容がとてもよく、あと一歩の文法力をたかめられる良書です。
世界一わかりやすいTOEICテストの英文法の長所・短所を知る
世界一わかりやすいTOEICテストの英文法の長所
- 本質的に文法を理解できる
- 点数を取るための文法を教えてくれる
- 比較的見やすい
本質的に文法を理解できる
この本は文法を表面的な理解ではなく、本質的に理解することができます。
たとえば一般的に受動態は「~される」という受動的な意味で覚えるよう指南されます。しかしこの本は「受動態が使われるのは、①Sを言いたくない・不明な場合、②SとOの位置を変えたい場合」とし「能動で考えたほうが自然」としています。この具体例として、それぞれ以下のように示しています。
①Sを言いたくない・不明な場合
- The vase was damaged.(訳:その花瓶は傷ついていた)
→ 能動態にすると、S damaged the vase.となる。このとき強引にSを入れる必要があるので受動態を使う
②SとOの位置を変えたい場合
- The awards ceremony will be followed by a banquet.(訳:授与式に続いて宴会が開かれる)
→ 能動態にすると、A banquet will follow the awards ceremony.となる。このとき先に授与式が行われるにも関わらず宴会という名詞が先、授与式が後になってしまう。それを避けるために受動態を使う
こういった本質的な理解ができるのがいいですね。英語力がワンランク上がったなという感じがします。
点数を取るための文法を教えてくれる
この本はTOEICの頻出部分への解説が充実しています。具体的には以下のような言及です。
so ~ that構文を「とても~なので…だ」と機械的に訳す人が多いのですが、それだけでは対応できない英文も出てきます(中略)soの本当の意味は「それほど」です。thatは「…なほど」を表します。つまり(中略)thatで「どれほどかというと、…なほど」とつけ加えるわけです。
The restaurant was not so busy that we couldn’t get a table.(訳:レストランはそれほど混んでいなかった、席が取れないほど)
関正生『世界一わかりやすいTOEICテストの英文法』p.75
こういったTOEICで点を取るための解説には助かりました。なかなか知ることができないが重要である部分をたくさん勉強できて満足しています。
比較的見やすい
この本はほかの文法書とくらべるとデザインがしっかりしています。良書とされる『一億人の英文法』や『キク英文法』はなぜか文字サイズや行間がバラバラなので、見づらいという印象を受けます。
いっぽうでこの本は上記が統一されています。くわえて必要最低限のところだけを赤字にしているのもよいですね。参考書のなかには赤字がおおすぎてかえって見づらいという本がたくさんありましたが、この本はそうではありません。こういったこまかい配慮のおかげでストレスなく勉強ができたと感じています。
世界一わかりやすいTOEICテストの英文法の短所
- 勉強する順番にくせがある
- 文法知識を必要とする
勉強する順番にくせがある
『世界一わかりやすいTOEICテストの英文法』は受動態から勉強をスタートさせます。これは受動態がいちばんの頻出分野であることを理由としています。たしかに受動態は避けて通れないので理にはかなっています。
いっぽうで体系的に勉強したい方にとっては、やはり五文型とそれぞれの品詞から勉強するほうがよいかと思います。五文型は英語の根幹であり、品詞はそれらのパーツだからです。以上からまったくの英語初心者にはむずかしい文法書かと思います。
体系的に文法の復習がしたいのであれば『一億人の英文法』をおすすめします。
文法知識を必要とする
『世界一わかりやすいTOEICテストの英文法』はSVOCをはじめとする文法の基礎知識を必要とします。以下のような説明がむずかしいなと思う方にとっては、前述の『一億人の英文法』などから勉強をはじめるとよいでしょう。私もこの文法書にあたる前は『一億人の英文法』で勉強していました。
形容詞には名詞を修飾する、補語になるという二つの働きがあります。
従位接続詞は基本的に副詞節を作りますがthat/if/whetherの三つは名詞節も作ることができます。
関正生『世界一わかりやすいTOEICテストの英文法』p.117, 47
世界一わかりやすいTOEICテストの英文法の感想・評判を知る
ここからはほかの方の感想やレビューを紹介します。
評価: 5.0TOEIC受験者には是非やってもらいたいですね。大学受験で英語をしっかりやってこなかった人もやってきた人にも効果的だと思います。TOEICを意識した例文で文法が解説されているので、スコアアップに繋がりやすい文法学習ができるのではないでしょうか。TOEICは慣れも大切ですが、それは文法や単語がしっかり身についていることが前提です。ぜひこの本でしっかり英文法を固めて欲しいと思います。
評価: 4.0他のレビューでもありましたが、とても分かりやすいのですが、音声がないのが残念です。例えばP32にbe being p.p. とhave been p.p. の発音に関する記載がありますが、記載の例文の音声を聞きたくなります。
評価: 5.0数ある英文法の参考書で正直1番しっくりきました。自分が正にそうですが英文法が弱くPart5、6の設問で落としがちなTOEIC受験者の方はかなりこの本一冊で助けられる部分もあると思います。無駄な説明が一切なく、頻出部分だけ抜粋して重要な部分のみPUしてくれている印象を受けました。
世界一わかりやすいTOEICテストの英文法の総合評価・まとめ
- 本質的に文法を理解できる参考書である
- TOEICに必要な文法知識がつまっている
- 初心者にとってはややむずかしい
総合評価は4.5です。二冊目の文法書として最高レベルです。「世界一わかりやすい」と謳っているいっぽうで、初心者にとってはややむずかしい勉強の順序だったので評価を改めました。
とはいえ短所がほぼなく、これほど納得感をもっている参考書はほかに数冊のみです。けっこうひどい評価もつけてきた私ですがこの本は間違いなく良書です。まわし者みたいで気が引けますが買ってよかったと納得しています。
私は「文法は理解していたはずなのに、TOEICで出題されると途端にあやしくなる」という経験をよくしました。こういった方の基礎力を上げるにはうってつけの文法書です。